『それでもボクはやってない』 (2007/日)

★★★★★★★★★

監督:周防正行
出演:加瀬亮/瀬戸朝香/山本耕史/もたいまさこ/役所広司 他

【STORY】
大事な就職の面接を控えた日の朝、大勢の通勤客に混じって満員電車から駅のホームへ吐き出されたところを痴漢に間違われ現行犯逮捕されてしまった金子徹平。連行された警察署で容疑を否認すると、そのまま拘留される。その後も一貫して無実を主張するものの、結局は起訴される事に。徹平の無実を信じる母や友人・達雄の依頼でベテランの荒川、新米の須藤の二人の弁護士が徹平の弁護を引き受け、いよいよ裁判が始まる…。

<感想>

まず、この映画は凄い!面白い(面白いと言っていいのかわからないが・・・)。

久々にのめりこんで観てしまった映画でした。この作品143分もあるとは絶対思わないです。

最初から最後まで本当に画面に釘付けになる映画でした。

度派手なことは何もない、映像的にも音楽的にも度肝を抜かれることはないんだけど、本当に作品として、最初から最後まで、必死に観てしまうすばらしい作品だと思う。

まさに日常で起こる可能性のある、そして実際起こっている身近な痴漢冤罪のお話。

あっという間にこの主人公に感情移入できたので、本当に面白かった!!

この主人公のとる行動が、あ~そうそう俺もそうするよ、ってな行動で、やってもない痴漢を認めろ?交通違反と同じで金払えばそれでOK?

“それでもボクはやってない”

そう、まさにその流れなんです。やってないものを認めて、金払う?何をバカな!って気持ちです。

しかし、その気持ちを出して、やってませんと否定してしまうと、とんでもないことに!!!

裁判をするわけですが、痴漢での裁判の勝訴割合の低いこと。

まぁ、実際物的証拠が乏しい状況判断での裁判だし、難しいだろうなぁ~とは思うけど、本当に怖いなぁ~と思った。警察も裁判所も。こんなんでいいのか???って。

これが今の日本の現状だとすると、とんでもないことだと思う。

でも、この作品の中でもそうだが、みなそれぞれが与えられた役割の中で、判断し、だれもこいつをおとしめてやろう、有罪にしてやろうと思っての判決ではなく、悪人ではない。

まさに実際痴漢をした人間だけが悪人なわけで、絶対コイツ等は許せない。

そういった意味でも本当に怖いですね、冤罪。

もちろん実際被害にあった女性にとっては、ショックなことだし、許されるべきことではない。

だから余計にこの作品中にも出ていない、実際まんまと逃げおおせた犯人が憎い!

もうすぐ“裁判員制度”がスタートすることにもなるし、我々も参加することも可能性としてはあるわけで、そういった意味でも、この作品はどっち側からも勉強にもなる優れた作品でした。

是非一度観て欲しいとオススメできるすばらしい映画なんで、みなさんどうですか?