『12人の怒れる男』 (2007/露)

★★

監督:ニキータ・ミハルコフ
出演:セルゲイ・マコヴェツキイ/ニキータ・ミハルコフ/

セルゲイ・ガルマッシュ/ヴァレンティン・ガフト 他

【STORY】
そのチェチェン人の少年には、ロシア軍の将校だった養父を殺害したという罪で、第一級殺人の容疑がかかっていた。少年の裁判は、当初は明らかに有罪だと思われていたが、いくつかの腑に落ちない点に気付いた1人の陪審員が、他の陪審員に疑問を投げ掛ける。無罪の可能性が浮かび上がってきたことから、審議の場は二転三転していくのだが…。

<感想>

のぼうの大好きな『十二人の怒れる男』のロシア版リメイク作。

これははっきり言って全く面白くない!観なきゃ良かったと後悔する作品でした…。

あの作品とは似ても似つかない別のくだらない作品だという内容だった。

それにも関わらず時間を160分も使ったりして、無駄以外の何ものでもない!

ここまでになるか?と思うほど、同じ題材を扱っているのにダメである。

色々良くない点はあるが、まず場面設定。

陪審員たちの審議する場所が何で小学校の体育館やねん!

只今改装中のためとか理屈をこねていたが、その時点からして緊張感はなく、興ざめである。

そして最も良くない点はやはり、審議の持って行き方。

オリジナルと同じ、有罪11無罪1という状況から始まるが、陪審員の意見が変わっていく過程がひどい…。

理論的に物事を整理して真相を究明していき、疑わしい箇所を挙げていく過程において、今まで有罪だった陪審員たちが無罪へと意見を変えていく。

 

その絶妙な展開が見事なオリジナル作品。

それに対して、この作品にはそういうやり取りが殆どない。

何で意見を変えたのかもよく分からない展開だし、実際話してる内容も12人の身の上話をダラダラとしているだけ…。

観ているこっちは、「っで?」と聞きたいものばかり。

もひとつ言うなら、ストーリーの途中途中に陪審員室の場面とは違うものが入るが、これがまた全くいらない。

オリジナル作品の素晴らしいところは、ひとつの限られた空間と、審議している場面だけで、観客を魅了し興奮させるところにあるのに、それが出来ないからといって、余分な映像を入れたものの、さらにつまらなくなっている…。何をやっても全くダメという可哀想なほどどうしようもない作品でした…。